2024/03/11 16:21
こちらの投稿
https://www.instagram.com/p/C3JstNHPiMB/?igsh=ZHA2M245cGVoaGt2
について、吹きガラスの技法にフォーカスして制作過程を詳しくご紹介します。
第一弾はランプシェード
こういった薄いフリルのガラスシェードが付いていたものなのですが、大きな亀裂が入った状態でした。かろうじて分裂していませんが、ほんの少し力を加えれば割れてしまうようなダメージです。
このような割れ方は、接着剤で修理をしても、見た目にも安全面にも不安が残ります。
そこで、元々のものに近い口径・大きさのランプシェード作りに挑戦してみることに。
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技法はガラス工芸でも馴染みのある吹きガラス。
いつもお世話になっている山梨県大月市にありますガラス工房様に協力を頂いて、見様見真似で作り始めてみます。
吹きガラスの初めは基本的に小さな泡から始まります。これに道具でくびれを作ったり歪ませたり、上からさらにハチミツ状の熔けたガラスを巻き足したり、色の付いたガラス原料を付着させたりしながら息を吹き込んでいくことで、形が大きく膨らんでいきます。
シェードの上部には金具を取り付けるための引っ掛かりが見られるので、そのくびれを残すためにあらかじめ上部の形を絞っておいてから膨らましてみました。それがこちら
その後、別のパイプに移し替えることで口を広げてグラスやお皿にしていくことができますが、今回は移し替えをせず膨らました底面をつまんで落とし、そこから口を広げてフリルを再現するやり方を試します。シェードには底面が無く、両側が開いているためです。
丸〜い底をよくあたため、柔らかくなったらピンセット型の道具でつまんで引っ張り、箸のような道具でくびれを作ったらくびれ部分から先を割り落とします。
そうして口を広げるとこのように両開きになるというわけです。
箸のような道具でフリルのように5箇所をつまんで開いてみました。フリルには様々な作り方があるのでシェードに合う造形を目指して色々試してみたいところです。
これが最終的な形です。ガラスは530°程の窯の中で一晩かけてゆっくりと冷まさないと割れてしまうので、これをパイプの根本から小さな亀裂を入れて切り離し、窯出しを待ちます。
結論、シェードの根本の引っ掛かり部分の口径が既成の規格に満たず、取り付けができないシェードとなりました...。吹きガラスはミリ単位の造形も、直接手で触れることができないためにプロダクトをつくるのはたいへんむずかしいのです。
今回は初めての試みで、計画もそこそこにぶっつけ本番でやったので成功とはいきませんでしたが、次はこうしてみようという指標はいくつか見つかりましたので、後日再トライしたいと思います。
リサイクルショップとしてこれはお伝えしたいのですが、失敗した透明なガラスはまた溶解炉で溶かして再利用することができます。
それに今回のシェードに合わなくても、いつかこれにピッタリな家具がおのずと都内のどこかからやってくるかもしれません。
壊れたものは直し、一部を作り替えたり、別のものと組み合わせたりと、新しい付加価値をもたせることで古いものをもっとながく使えるようになることもあるので、捨てられ、流されていってしまうものたちをどうにかこの世にとどめて、貪欲に循環させていきたいとおもいます。
トリノスではおもしろアイディアリメイク、むりやりリペア、オイルフィニッシュだけDIYなど商品化のために実はなにかと奔走しているので、リメイク/リペアとつく商品はその内容もご一読してみてください。
ほんだ