2024/03/13 17:21



スタッフのほんだです。



今回は、ある家具がトリノスにやってきてから旅立っていくまでのストーリーをご紹介したいとおもいます。


トリノスの買取は、都内からご依頼があったら見積もりをしに行き、双方の同意のもと買取や引き取り/搬出となります。

お引越し、解体、移転、断捨離など、家具や雑貨を手放すにも理由はさまざま。気持よく早く手放したい方もいれば、思い入れがあり寂しいながらもやむを得なかったりとそれぞれに物語があります。


その中でご紹介したい例がこちら






W890×D590×H760mmと、昔ながらのタイプとしてはコンパクトなつくりのデスクです。


こちらは○○荘と名のつく美術学生さんの下宿場だったところから買取したものです。

4畳程の部屋が6室あり、その部屋全てに作業用デスクや制作途中の美術作品が埃を被って放置されており、時が止まったままの空間でした。
美大生のための下宿が、時代が進むにつれ使われなくなり、そのままにされていたものも行き場を失っていたようです。

その当時、制作に打ち込んだ学生さんたちの思いが刻まれたデスク。たいへん味わい深い風合いになっています。
どういう場所で使われていたのかを聞くと、ものの説得力も増し、想像力も広がります。



簡素なつくりは限られたスペースで作業をするために用意された最小限のものだったのかもしれませんし、たくさんの小キズや引き出しの中のシミはカッターや彫刻刀、インクや顔料などの痕跡かもしれません。



そんなデスクがトリノスの店頭にやってきたのも束の間、めでたく売れてゆきました。
購入されたのは、一時的にお仕事のために日本に在住していたデンマークからのお客様。

彼は環境に配慮した生活を心がけており、リサイクルの精神性を大切にしていて、ご近所に住んでいたこともありトリノスの家具をよくお部屋に取り入れてくださっていたものです。

やはり決め手はコンパクトさだったようです。合わせるチェアはまた別で探すことにして、このデスクを迎え入れてくれました。


しかしそれから数ヶ月、その方はトリノスで別のデスクに出会います。



これがそのデスク。幅はこちらの方がややありますが、スツールもセットで付いており、引き出しなどが無く足元が広々。身長が高いお客様には、コンパクトデスクの足元が少々窮屈だったようです。

ということで、一度買って頂いたデスクはトリノスがまた買い戻すという形で帰ってきました。


そのお客様は、仕事の期間が終わり昨年母国へと戻りました。ご自身で持っていた素敵な椅子や、トリノスで購入して下さった棚やテーブルなどの数々も再度買い取り、最後に日本のメーカーのビールグラスをお土産に持ち、身軽に帰国してゆきました。



全部で100個相当は入荷したこれらのグラス、海外からのお客さまのお土産にけっこう人気なんです。カタカナ入りのとかアツいですよね。


このデスクは現在店頭にあります。芸術を学んでいる方、建築系のお仕事の方、小さなスペースで同じ志を持っていたかもしれない人が使用していた家具に、思いを馳せながら作業するというのもなんだかロマンがあると思いません?


現在の姿。元気でやっています。



ほんだ